農業を経営しているけど、法人化するメリットってあるのかなぁ?
法人化している農家さんの話を聞いてみたい。
この辺の悩みってフリーランス同士ですごくどこでも話されていませんか?
僕の住んでいる小さな町でもこの話題はよく出てきます。
税制面から見てもすごく複雑ですよね…
僕は2021年1月から個人事業主から農業法人化をしました。
ウチは5月決算でしたので、一期(1月から5月)が終了し、感じたメリットデメリットをお伝えします。
農業法人化するか悩まれている方の参考になればと思います。
まず、ウチの経営内容をお話しします。
ざっとこんな感じですかね。
このくらいの規模で法人化しました。
ではいきましょう
メリット
・求人しやすくなる
ウチの場合は今のところ正雇用を雇おうと考えていませんが、近所の農家さんは求人した時は個人事業主の時と比べて応募が増えたと言っていました。
やはり印象がかなり違うようですね。
規模拡大を考えている農家さんにはこの点はメリットが多いように感じます。
・所得税は法人税の方が安い(金額による)
税率の話になります。
所得税だけの話に限って言えばざっくり税率は法人の方が安いです。
しかし、累進課税制度など単純な話ではないので、こちらは言及を避けます。すいません…
どうしても気になる方はご自身でお調べください。
Googleでも YouTubeでもお金のキーワードは強いです。
たくさん出てきます。
・決算時期を自分で決めれる(個人は12月のみ)
これは僕の場合は結構メリットでした。
農業は精算される時期が決まっていますが、年末ギリギリのことが多いです。
そして精算単価の高いものがそこに入ってきますので、そこに向けてどのくらいの売り上げが立ちそうかすごく計算したりするんですよね。
そして事前にそれを把握してから節税を行いますので、期間が非常に短くて大変でした。
法人なら自分で決められますので、お金の出入りが落ち着いた時期に決算を迎えれますので、楽と言えば楽です。
・赤字は法人で9年繰り越せる(個人は3年)
9年間も繰り越せるのはすごいです。
そして、一年目黒字でも2年目それを上回る損益が発生すると還付を受けられる制度もあるそうです。
ですが、法人住民税の均等割りはかかります。
資本金、従業員によって変わるそうですが、7万円ほどはかかるみたいです。
・利益と給料をしっかり線引きできる
これはよく言われる事ですね。
個人事業主だと正直線引きが難しいです。儲かっても自分のお金でないような感覚…
どこかでそう思って事業の運転資金だと考えてしまい、実際給料として受け取りにくいですよね。
それはなくなり、役員報酬として受け取っています。
しかし、まだ法人設立して間もないので、当然ですが法人に力がありません。
そういった面を考えると、給料として受け取っても結局法人に貸したりはするかもです。
法人が社長に借りて、借り入れ利息を発生させなくても大丈夫と言及している税理士もインターネットで見つけました。
この辺りも担当税理士に相談すると良いかもですね。
ただ、僕的には社会保険と源泉徴収という形で税金の網をくぐったお金なので、大事に使いたいと思っています。
・社会的信用(資金の借り入れ等)
銀行での融資や取引会社との契約はしやすくなります。
農家さんは農協に出荷している方が多いと思いますので、その部分はあまりメリットではないのかな?とも感じています。
僕の地域では正直農協は強いです。
全国の農家さんは色々なところと取引しているようなので、信用という部分では道が広がるかもしれません。
・補助金の受けられる金額が個人と比べて倍以上になる事もある
これはメリットとして大きいですよ。
最近は3割補助の補助事業ばかりでしたが、法人だと5割の案件もあります。
そして上限も倍でした。
補助金に関して言うなら法人でも個人でも消費税は別途発生します。
例えば消費税別100万円の機械を補助事業で買うと、3割補助だとしても消費税は70万円に対してではなく、100万円に対してなので、10万円かかります。
ちょっと複雑な気分です。
・税理士に会計処理をお任せすることにより、負担軽減
毎月訪問なので、数字の意識もかなり高まります。
処理の負担は減りましたが、社会的責任も出てくるので、僕も丸投げにせず、どんぶり勘定にしていた部分を徹底的に無くしました。
何より、担当税理士さんが意識を高めていただいてます。
税理士さんも税務調査がくる前提で動いていただいてますので、かなり曖昧な経費は質問されますが、シビアになれました。
個人事業主の時は税理士報酬は法人に比べて2割で済んでいました。
自分で処理し、決算処理をお願いするだけでしたので、自分の負担は大きかったですが。
僕は法人成り前に税理士を変えました。
昔からの付き合いでお願いしていた税理士でしたが、考えを聞いていただけず、連絡も取れないことが多かったので、法人設立前に変えました。
色々引き継ぎは楽ではなかったですが、料金が高くてもしっかりやっていただけますので、安心してお願いしています。
ただ、僕的に思うのは最初のうちは個人事業主なら自分でやった方が絶対いいと思います。
納税は国民の義務なら節税は国民の権利と言っている税理士さんもいました。
節税は自分で勉強しないと誰も教えてくれませんから。
・事業承継が楽
もし後継者がいらっしゃるようでしたら、メリットです。
農協等の手続きも楽ですし、承継しても相続税はないようです。
ただ、会社は株主の持ち物で、だいたい社長が株を沢山所有することとなると思います。
そうなると、社長が死亡した場合は個人の持ち物なので、相続になるようですね。
相続に関してはプロではないのでこちらも担当税理士に相談下さい。
・免税事業者を選択できる
免税事業者になると課税売り上げが1000万円以下の場合、2年間の免税事業者を選択できます。
文字通り、消費税が2年間免税です。
僕の場合は課税事業者を選択しました。
この点は税理士と相談を重ねて決定しました。仕入れ(経費)が1年目から多額だったので、課税事業者だと還付が受けられます。
しかし、これも経営形態によって様々ですので、念入りに税理士と相談下さい。
一度、課税事業者を選択すると2年または3年縛りになるので、免税事業者にはなれないようです。
・経費の枠が広い
例えば個人事業主の場合、営農車両は別として、乗用車は按分計算していました。
しかし、乗用車でも会社名義で買うなら社用車となり、按分計算がありません。
他にも沢山あります。しかし、項目によって経費で一回受けて否認をかけたりすることもあります。
こちらも詳しくは税理士にご相談を。
1番いいなと思った経費は旅費日当です。
詳しくは旅費日当で検索を。
デメリット
・税理士報酬が個人事業主時代と比べ高くなった
当然の話ですが、法人は複式簿記なので複雑です。費用は売り上げ金額によって相場があるようです。色々調べてみる事をお勧めします。
毎月訪問なので、その分の費用と別に決算の費用も結構負担にはなります。
・役員報酬は一回決めたら簡単に変えれない。
決算時期まで基本変えれないです。賞与は大変そうなので、設定しませんでした。
僕は固定給にしています。
今後は会社の利益を見て変えていくかもです。
・法人税が別途かかる
法人は人格が1人増えるイメージです。
法人税、法人住民税、法人事業税がかかります。
法人法人言っててもなかなか気づかないですよね。
よく見たら法人→人って書いてあります。
・法人設立に手間と費用が結構かかる
自分でも調べてできるみたいですが、僕はすべて頼みました。
司法書士にざっと30万円程支払いました。
そして手間もかかります。
法務局に何度も行きました。近くにないのでちょっと大変でした。
あと、個人事業主で既に認定農業者であれば変更するのに農業委員会で手続きしなければなりません。
いきなり変更はできませんので、法人化が決まったら早めに役場に行って相談してください。
農業振興公社を通して賃貸契約等結んでいる方は後者でも手続きがあります。
もう手続きばかりで疲れたことを覚えています笑
・社会保険料が高い
1番のデメリットと思っています。
両学長という方のYouTubeを見てたくさん勉強しました。
日本はサラリーマンが多いです。
社会保険料という、会社折半で徴収されるシステムに敏感になれない日本人が多いようです。
社会保険料は年々上がっていますので、正直役員報酬の金額設定をすごく少なくして、社会保険料を節約しようと考え、税理士に相談しました。
うちの場合はある程度受け取らないと、法人税の方が高くつきます。と言われ、シミレーションをたくさん作ってくださりました。
そして、担当税理士の言葉が響きました。
どこかで税金の網はくぐることになります。
そうしないと会社も大きくなりません。
何年間かのうちのデータを元に1番税負担が軽い所を探して下さいました。
やはり税理士って大切なんだなと思いました。
結局自分の想定外の役員報酬になりましたが、担当税理士の緻密な計算により納得し落ち着きました。
・辞める時が大変
始めたばかりで辞める事を考えるとかイマイチかもですが、全てに終わりはあると思っています。
個人事業主のように簡単にはできないようです。
あとたくさん資産や会社の価値が上がると出口で税金がかかると言われました。
・引き継ぐものがあると結構大変(売るのか、貸すのか決める)
在庫をたくさん抱えた状態だと資産価値のないものならそこまで税金が発生しないですが、資産価値があるものを売却かけると、社長の持ち物だったので、社長に消費税、所得税がきます。
その分法人は消費税が還付になったりしますが、そこで免税事業者を選択していると、還付を受けられませんので、資金は必要になると思います。
0から法人なら良いんですが、持っている状態で法人に在庫を売ったりするとやはり、色々選択する必要はありますので、自分の経営と税理士に相談するのが間違いないです。
本当に色々なパターンがあるので、悩みました。
税理士と相談を重ねて決めました。
・社会保険労務士費用もかかる
こちらも手続きが複雑そうでしたので、依頼しました。
標準月額報酬で社会保険料が決まりますし、毎年保険料は変わるそうなので、計算が必要になるようです。
まとめ
いかがでしたか?
正直税金の話ばかりなってしまいましたが、法人化でやるか個人でやるかは結局税制面だと思います。
僕の考えは法人化のボーダーラインと言われている約1000万円の純利益が見込めるようでしたら、農業法人をお勧めしたいと思います。
年金はどうなるかわかりませんが、厚生年金がしっかり支給されればメリットはあると思っていますので!
しかし、最初からいきなり法人化してスタートはおすすめできないです。
まず、農業経営を数年行ってしっかりと自分の業績を数字で確認してからでも遅くないと思いますよ。
今回の税金に関する情報は間違えの無いように沢山調べました。
間違っていた場合はご了承ください。
僕も実行していることですが、税理士にしっかり聞き、インターネットの情報も誰が書いているか?を意識して見た方がいいです。
どんな人が書いているかわからないサイトは信用できないですし、しっかりしたサイトは誰が書いているか記載があります。
そして、何度も出てきましたが、法人化を考えているようでしたら、
優秀な税理士を探して下さい。
僕は近所の法人化されている先輩に詳しく聞いてから紹介して頂きました。
今は色々なことがインターネットで調べられますので、沢山質問して、自分に合った方を探すことを強くお勧めします。
僕が思う経営とは、いかに人に任せられるか?だと思っています。
皆さんも任せられる信頼できるパートナーを作りましょう!
堅苦しいお金の話ばかりになってしまいましたが、これからも農業経営の事を発信していきたいと思っています。
もしこの記事にたどり着いて頂いた方には読み終わったらしっかり行動(アウトプット)していただきたいと思います!
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最後までお読みいただきありがとうございました。