農業の収穫作業ってどう?
作業的にキツいんでしょ?
収穫作業の大変な部分を実際に詳しく教えてほしいんだけど…
こんにちは、北海道の農家です。
現在の農業って機械の大型化、省力化が進んでおり、
農業って現在は何が大変なのかよくわからないですよね。
そこで今回は農業歴12年の僕が農家の大変な部分である【収穫作業】を作物毎にあげてみました。
これから農業をやってみたいという方はぜひ参考にしてみて下さい。
収穫作業の大変さが少しはイメージできるでしょう。
大変さを知る前に農業の3Kについてはこちらの記事にまとめました。参考にしてみてください↓
大変な農作業とは?
農家の大変な部分はやはり【肉体労働】ですね。
そして収穫作業が本当に疲れます。
年間で秋の収穫作業が1番しんどいです(笑)
次から次へと収穫が始まりますので。
季節毎の1日スケジュールについてはこちらの記事を参照下さい。イメージしやすくなりますので↓
実際現代は機械化が進み、昔は馬を引いて作業していたことを考えると、人類はあり得ないくらい進歩しています。
ですが、まだまだ手作業も多く存在しており、実際肉体全体に疲労が溜まります。
なお、僕の作付けで収穫内容の紹介となります。
作付け内容と実質稼働日数についてはこちらの記事でまとめました。参考にしてみて下さい↓
収穫作業は大型機械化を進め、かなり楽になりましたが、それでも人間の手作業は現在も必要です。
ここで大切な部分をお伝えします↓
農業は休みたいと思っても休めない事が多々あります。
どんな作物も時期が来たら雨が降らない限り収穫作業が連日行われます。
早く収穫しないと天気によって育てた作物が劣化してしまうので、歩留まりが下がり収入に影響してしまうので適期作業が求められます。
全部の作物に言える事です。
では、作物毎に説明します。
小麦の収穫作業
小麦は7月末から8月中旬までに収穫が完了します。
その間はびっちり収穫しています。
コンバインという収穫機で収穫します。作業幅は5.4mと大型サイズとなります。
小麦の収穫作業自体は実際そこまで大変ではありません。
全て機械でやりますので。
収穫した小麦を家にファームダンプで運び、乾燥機という小麦を乾燥させる機械を夜通しで動かして、朝まで乾燥させます。
適正な水分まで乾燥させて朝出荷するイメージですね。
流れ:収穫→トラックで自宅に運搬→乾燥機に入れて乾燥→乾いた麦をコンテナに排出→業者に出荷
こんな感じです。
肉体労働はほぼありません。
芋の収穫作業
芋は作る品種によって大変さが変わります。
大変なのは、食用、加工芋です。
収穫時期は8月下旬から9月中旬には終わります。(品種によります)
ハーベスターという機械に4〜5人で乗って掘り上げた芋がコンベアーに乗って流れてきます。
そして畑で掘りながら上がってくるとダメな芋、泥や石を選別してしまいます。
収穫機に乗りますので歩たりはしません。
機械が行ったり来たりして、収穫機のタンクがいっぱいになったらコンテナに収穫した芋を排出。
これを繰り返し行います。
そして僕の場合は農協に出荷してしまいますので、後は農協で選別してくれます(手数料はかかります。)
流れ:掘り取り→機上選別→コンテナに排出→農協出荷
澱粉芋と呼ばれる品種は比較的楽に収穫できます。
名の通り、澱粉の原料です。
別の澱粉芋用ハーベスターがあるのですが、そこには1人だけ乗り、腐った芋を選別するだけです。
いい状態なら人は乗らず、機械で収穫するのみです。
この芋は土場に排出し、あとは業者が運んでくれます。
澱粉芋は出荷して工場で選別してくれますので、手間はそこまでかかりません。
どちらも大変な部分は選別するときは前屈みになるので、腰が痛くなります。
力仕事はそんなにありません。
流れ:掘り取り→機上選別(ひどい場合のみ)→トラックに排出→土場に排出
カボチャの収穫作業
収穫時期は9月中旬から下旬辺りです
カボチャは結構大変です。
一個一個ツタを専用のハサミで切って手渡しでコンテナに詰めていきます。
ツタが硬い品種の場合は硬くてなかなか切れないため、ハサミを握る手が痛くなります。そして地面から拾い上げるので腰が痛いです。
流れ:ツタ切り→集めてコンテナに一つ一つ丁寧に入れる→自宅に持ち帰り、風乾させる→2〜3日風乾させて出荷
あずきの収穫作業
あずきの収穫時期は9月下旬から10月上旬です。
豆刈り機と呼ばれる3輪の機械で一度刈り倒してから、時間を置いて、登熟させます。
スレッシャーという機械で鞘に入った豆を落とす収穫機で収穫し、トラックに排出し、そのまま業者に出荷します。
こちらも機械だけなので、肉体的にはそこまでキツくありません。
流れ:刈り倒す→1日あける→スレッシャーで拾いあげて豆を落として収穫→出荷
甜菜の収穫作業
甜菜(ビート)と呼ばれる作物ですね。
収穫は10月下旬に終わらせてしまいます。
砂糖の原料です。
根菜類ですので、こちらもハーベスターという機械で掘り取りします。
こちらも収穫自体は楽です。
ただ、収穫後の集荷作業まで時間が空く場合、収穫したビートは乾くと糖分が下がり、単価が下がってしまいますので、テントを被せます。
その作業が地味に大変です。
ビートは硬いので、その上を歩いて登るときに足をよく挫きます。
全体に被せた後に風で飛ばないようにタイヤを大量に乗せます。
流れ:掘り取り→トラックに排出→土場に排出→テント被覆
人参の収穫作業
うちは撒く時期が6月上旬ですので、大体10月中下旬には収穫します。
人参は僕の地域では収穫作業、運搬作業、選別作業を全て農協に委託していますので、収穫作業はありませんので飛ばします。
ただ、当然ですが委託分は手数料が発生します。
大豆の収穫作業
収穫時期は大体10月下旬です。
こちらも業者に収穫、運搬を委託しておりますので、僕の作業はありません。飛ばします。
もちろん手数料発生です。
長いもの収穫作業
収穫時期は毎年11月初旬から下旬までです。
長いもはうちで作っている作物の中で1番大変です。
理由は簡単で手作業が多く傷つきやすい作物ですので、神経を使う作業ばかりです。
収穫の際にプラウという専用の掘り取り機械を深さ1mくらい畑に差込み、ゆっくり進んで上がってくる長芋を抜き取ります。
上がってきた長いもを土を落として良いもの、悪い物に分けてコンテナに入れていきます。
そして出来上がった長いもを業者に出荷します。
流れ:プラウを差す→上がってくる長いもを抜きとる→抜き取った長芋を別の人が土を落としながら選別→集めた長芋を併走しているトレーラーに置いてあるコンテナにひたすら入れる→出来上がったコンテナを出荷
この作業は手作業だらけでものすごく大変です。
単価が高く、傷もつきやすいので、すごく丁寧に扱っていただきます。
土を1m掘りますので、足場はボコボコで歩きにくく、その状態で腰を曲げてひたすら拾い上げて腰を曲げてコンテナに入れる。
もうずっとやってたら本当に大変な作業ですね。
その為、人員を沢山集めて極力負担のかからないようにやります。
しかし、人数の多い分、従業員さんを管理するのも大変になります。
本当に正直この時期は大変すぎて逃げ出したくなります…(笑)
まとめ
こうやって見てみると、僕の経営は意外に委託業務が多く、機械に頼った経営ですね。
手間をかけたくない考え方なので、仕方ないですが手間をかけないやり方で攻めたい方には参考になるかと考えます。
しかし、長いもは単価の高い分やはり大変なんですよね。
世の中ってうまくできていて、楽して収穫できるものは単価は安いですが、大変なものは単価が高いんですよね。
そこが農業の面白い部分でもあります。
ただ、繰り返しになりますが、作物は適期に収穫しないと品質も下がり、結局収入は減収してしまいます。
そのため、収穫作業は大変なことも非常に多いです。
これから新規就農しようと考えている方はその事はそこはしっかり覚悟しておいたほうがいいでしょう。
厳しい言い方になるかもしれませんが、最初から従業員をたくさん雇うことはできないです。
最初は自分や家族で頑張る事が非常に大事ですね。
ぜひ行動に移してみてください。
以上参考になれば幸いです。
今回は収穫作業について深掘りしましたが、機会があれば他の作業の大変な部分も掘りさげてお伝えします。