農業の一年間ってどうなの?
休みってどのくらい?
実際の農家さんに話を聞いてみたいんだけど…
はい、実際の農家です!(農業歴12年)
農家の一年ってはたから見てもよくわからないですよね?
普通の職業だと、なかなか農家さんとの接点もないので判断が難しいと思います。
そこで今回は北海道で現役農家の僕が自分の農場スケジュール1年間をざっくり作物別に月別にまとめました。
新規就農を考えている方は作物毎に分けましたので、参考にしてみて下さい。
早速いきましょう。
北海道の農繁期は?
基本、3月~12月初旬まで農作業しています。
それ以外の期間は基本畑に出て農作業はしません。
実質は8ヶ月間の期間作業しています。
8ヶ月びっちり休みないの?
ずっと働きっぱなしなの?
休みは8か月間で何日あるの?
いいえ、ちゃんと休みはありますよ!
基本的に雨の日ですね。
あとは30℃を超えるような暑い日は熱中症の危険性がありますので、体を使う作業は休むようにしています。
しかし僕の地域は本州に比べると、雨が少ないように感じます。
時期によりますが、1週間に1回降る時と20日くらい降らない時もあります…。
そういう時は無理に働かず、休むようにしてしまいます。
休みは8か月間の合計で…
お盆休み等もありますので、こんな感じです。
天気仕事の宿命みたいなものですね。
繁忙期に休みが少ないのは仕方ありません。
しかし、冬の長期休暇もありますので、年間の休み合計は約120日といったところですね。
北海道の農家は冬に確定申告したり、農協の役員会議があったり、研修があったり、地域の会合があったり色々忙しいですが、そういうのも仕事と捉えると、僕の場合は約100日です。
では、作物毎に月別で解説します
馬鈴薯(ジャガイモ)
一般の方のイメージは北海道といえばイモ!ですかね?
- スケジュール
- 4月 畑の整地、播種作業
- 5月 農薬散布土壌処理(土に除草剤を散布し、雑草が生えないようにします)
- 6月 培土作業(土を寄せます)、防除作業(週1くらい)
- 7月 防除作業(4回)
- 8月 防除作業(3回)、草とり作業
- 9月 収穫作業
馬鈴薯もたくさんの品種があり、品種によって登熟期間も変わります。
収穫時期が変わると、防除作業(農薬散布作業)が8月、9月が1回ずつ増えますね。
小豆(あずき)
北海道産小豆も認知度は高いですね。
- スケジュール
- 5月 畑の整地、種まき、土壌処理
- 6月 草とり作業、カルチ作業、防除作業(殺虫剤)
- 7月 カルチ作業、防除作業(殺虫剤とイネ科雑草処理剤)
- 8月 防除作業(3回)
- 9月下旬から10月 収穫作業
こんな感じのサイクルですね。
カルチ作業とは、畝の間に鉄製の爪のような物をトラクターで牽引する作業です。
爪を土に入れる事で土に空気が入り地温を上昇させ、作物の生育を助けます。
他の作物でも同様の狙いで行います。
こちらも品種により登熟期間が違います。
10月末くらいに収穫時期を迎える品種もあります
大豆
大豆は今大豆ミート等でかなり注目を集めている食品ですね。
北海道産の大豆は全国で1位です。生産量は全国の33%は北海道産です。
- スケジュール
- 5月 整地、種まき
- 6月 農薬散布(除草剤、殺虫剤)、カルチ作業
- 7月 カルチ作業、農薬散布(殺虫剤)
- 8月 農薬散布(3回)
- 9月 作業無し
- 10月 収穫前に草取り後収穫
僕が作っている大豆は白大豆です。
白大豆は収穫の際に汚れやすいので、雑草の混入で汚れないように草取りを10月に行います。
ただ、大豆は草丈が伸びやすいので、一回伸びてしまえば雑草は生えにくいのがメリットですね。
甜菜(ビート)
皆さんには馴染みが薄いかもですが、北海道産のみの作物です。
砂糖の原料で砂糖大根とも言われています。ビートたけしののビートはここからなんですかね。天才たけし…
- スケジュール
- 3月 ハウス内育苗管理
- 4月 整地、移植作業
- 5月 農薬散布(除草剤)
- 6月 カルチ作業、農薬散布(3回)
- 7月 農薬散布(2回)
- 8月 農薬散布(2回)
- 9月 農薬散布(1回)
- 10月 収穫作業
農薬散布作業が多いですが、1番大変なのは移植作業ですね。
最近では、担い手が少ない影響で直接畑に種をまく直播という播種方法が浸透しつつあります。
収量自体は落ちますが、作業負担はすごく変わります。
秋まき小麦
我が農場でも1番面積が多い秋まき小麦です。名前の通り秋に播種して、年をまたぎます。
- スケジュール
- 9月 整地、種まき
- 10月 農薬散布(土壌処理剤、殺菌剤)
- 4月 追肥作業、鎮圧(麦を踏む)作業、
- 5月 農薬散布(除草剤)、追肥作業
- 6月 農薬散布(殺菌剤3回)、追肥作業
- 7月 農薬散布(殺菌剤)
- 7月下旬 収穫作業
北海道の寒い冬を乗り越える作物ですね。
冬は冬眠状態になっているイメージです。
そして雪が積もりますので、雪が積もると雪の中は暖かいんですね。雪が少ない年だと、冬枯れといった症状になり、枯れたりします。
雪があると違うんです。
春まき小麦
こちらも名前の通りですね。
春に種まきします
- スケジュール
- 3月 融雪剤散布
- 4月 整地、種まき作業、農薬散布(土壌処理剤)
- 6月 追肥作業 農薬散布(除草剤、殺菌剤2回)
- 7月 農薬散布(殺菌剤2回)
- 8月 収穫作業
融雪剤散布作業は畑にある積もった雪を溶かす融雪剤(炭カル肥料)を散布し、雪溶けを加速させて、早く畑に入れるようにする為に行う作業ですね。
早く撒くために必ず行います。
春まき小麦は生育期間が秋まき小麦と比べると短いので、当然収量も少ないです。
しかし、販売単価はこちらの方が高いです。
南瓜(カボチャ)
- スケジュール
- 5月 整地、種まき作業
- 6月 草とり作業
- 7月 草とり作業
- 9月 収穫作業
カボチャは播種と収穫が手作業なので、大変ですが、管理作業はほとんどありません。
かける時間は少なめです。
人参
- スケジュール
- 6月 整地、種まき作業、農薬散布(土壌処理)
- 7月 農薬散布(除草剤、殺菌剤2回)
- 8月 農薬散布(殺菌剤3回)
- 10月 収穫作業
ニンジンは僕の住んでいる地域では、播種と収穫作業は農協に委託している方が多いです。
作業的には機械仕事ばかりなので、比較的個人の負担は少ない作物ですね。
長いも
当農場で1番手作業が多く、全てが大変な作業です。
- スケジュール
- 3月 倉庫内で種子長いもを切って管理
- 4月 倉庫内で温度管理、芽出し
- 5月 整地、種まき作業 マルチ被覆作業、支柱立て、ネットかけ、
- 6月 芽が発芽しているか全部の畝をチェック、農薬散布(除草剤)
- 7月 追肥作業、農薬散布(除草剤)
- 10月 ネットおろし、蔓を巻いて片付け作業、支柱片付け、マルチはぎ取り作業
- 11月 収穫作業(実質15日間)
長いもの作業時間はすごいです。その分単価も高い作物に分類されますね。
やはり、簡単な管理で済む作物は単価が安いですが、手間がものすごくかかる作物は単価が高いです。
まとめ
いかがでしたか?
感想としては思ったより休みが少なくてびっくりでした…
今まで計算したことなかったので少し悲しくなりました…(笑)
120日がサラリーマンの合計休日ですので、まずそこを目指したいです。
今回の作物スケジュールは北海道の農家としてほんの一例です。細かく作業を上げるとまだまだありますが、今回は作物別でわかりやすくしたかったので、大雑把に発表しました。
今後は作物毎の一年をもっと細かくして、発表していきたいと思います。
基礎はありますが、いろいろなスケジュールの組み方があります。
本州の農家さんは2毛作(年に2回作付けと収穫)する農家さんが多いと思います。
しかし、北海道は1毛作しかできません。
現状は地域によっても作っているものによっても違いますが、こんなスケジュールの農家さんが多いかと思います。
農家の一年はやる作業がたくさんありますが、手間をかけた分だけ、収入が上がったりする作業もあります。
自営業の面白いと感じる部分です。
たくさん作った作物を自分で出店して売る方法もありますので、やり方は無限ですね。
そうなってくるとスケジュールは変わると思います。
以上参考になれば幸いです。
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